多くの英雄が出てくるギリシャ神話で一番有名なのはヘラクレスでしょう!しかし、みなさんヘラクレスについてどのくらい知っていますか?
意外にヘラクレスが何をしたのか知らない人は多いと思います。
最も有名なのが「ヘラクレスの12の功業」です。この12の試練にヘラクレスの物語が凝縮されています。1つ1つ丁寧に紹介していきます!
- なぜ試練を課されたのか
- なぜ英雄呼ばれているのか
- ヘラクレスの意外な物語
ヘラクレスの12の功業とは何?
ヘラクレスは最高神ゼウスと人間の間にできた半神半人の英雄です。
ゼウスの正妻である女神ヘラは人間と浮気して産まれたヘラクレスを憎んでいました。
ヘラクレスを亡き者にしようと赤ん坊ヘラクレスにヘビを送り込むが逆に絞殺されてしまいました。
その後、ヘラクレスが結婚をして子供が出来た時にヘラがヘラクレスに狂気を吹き込みました。狂気によりヘラクレスは自分の子供を殺してしまいました。
その贖罪をするためにヘラクレスは神アポロから神託を受けました。
「エウリュステウス王に使え12の功業を達成すれば許される」
ここからヘラクレスの12の試練が始まります。
これも女神ヘラが仕掛けたことなんだよね!怖すぎるよ!
人間と浮気をしたゼウスですが実は浮気には理由があるんです…下記から読んでみてください。
>>【ゼウスの浮気には理由がある】ギリシャ神話の最高神ゼウスの裏側
【試練1】ネメアーの獅子
ネメアーの獅子はギリシャ神話に登場する人食いライオンです。
母はエキドア、父はテュポーンあるいは息子のオルトロスと言われています。
両親ともに怪物であるネメアーの獅子も怪物でした。第一の難行にヘラクレスはこのネメアーの獅子の毛皮を持ち帰る必要がありました。
しかしネメアーの獅子は強靭な皮膚を持ち、剣や矢も一切通りませんでした。こん棒や格闘も効果が薄く、最終的にはネメアーの獅子の首を絞めて葬ることができました。
ゼウスはこのネメアーの獅子を宇宙に打ち上げ「獅子座」にしたと言われています。
ネメアーの獅子の毛皮で包まれると不死の力を得ると言われていたよ!
【試練2】レルネーのヒュドラー
ヒュドラーはギリシャ神話でアルゴリス地方のレルネーの沼に生息していた怪物です。父は最強の怪物テューポーン、母はエキドナです。
ヒュドラーは巨大な体に9つの頭を持ち、まるで大蛇のようなドラゴンのようなイメージです。またヒュドラーの吐く息は猛毒で誰も近付けませんでした。
ヒュドラーは不死の体を持ち、首を切ってもすぐ再生してしまうため討伐にヘラクレスは苦戦してしまいます。
しかし1つ頭を落として傷口を焼くと再生しないことがわかり、全ての頭を落として傷口を焼き見事討伐に成功しました。
その後ヒュドラーの強力な解毒不可能の猛毒袋を取り、ヒュドラーの毒を塗った矢はヘラクレスの武器になりました。
12の第4の難行でこの矢で不死のケイローンを誤って撃ってしまい傷をつけてしまいます。
不死であるケイローンは毒で死ぬこともできず、苦しんだあげく不死を返上して死ぬことができました。
このヒュドラーの死後は宇宙に打ち上げられてみずがめ座になったと言われています。
このヒュドラーの毒はこの後もすごい役立ちます!
最高神ゼウスとギガス族の戦いでも、このヘラクレスのヒュドラー毒矢が勝敗を決めます。下記から読んでみてください。
>>【ギリシャ神話】ゼウスとギガス族の争いギガントマキアについて
【試練3】ケリュネイアの鹿
第3功業は、「ケリュネイアの鹿」を生け捕りにすることでした。
エウリュステウスは神でも素早く妻えるの難しいケリュネイアの鹿を傷を付けず捕まえることを命令をしました。
ヘラクレスでも生け捕りするのが難しく、一年間追いかけっこをしていました。
たまたま川で水を飲んでいた鹿にヒュドラーの毒が塗ってある矢がかすり生け捕りすることに成功しました。
エウリュステウスの作戦はまた失敗したんだよね
【試練4】エリュマントスの猪
第4功業は、「エリュマントスの猪」の生け捕りです。
エリュマントスの猪はアルカディア地方のエリュマントス山に生息していて、アルテミスがイライラした時に憂さ晴らしに獰猛な猪を送り込んだとされています。
住民は村を壊し畑を荒らす猪に怯えていました。そこでエウリュステウスが生け捕りの試練をヘラクレスに出しました。
ヘラクレスはエリュマントス山が雪で覆われている時に罠を仕掛けて、この罠で「エリュマントスの猪」を生け捕りにしました。
あっさり猪の生け捕りをすることができましたが、実はエリュマントス山へ行く前にヘラクレスはケンタロウス族の住処を訪れていていました。
そこでケンタロウス族の大事にしてたお酒をヘラクレスはうっかり飲んでしまいケンタロウス族と喧嘩になります。
ヘラクレスはケンタロウス族を追い詰め、ケンタロウス族は賢者ケイロンを頼ったがヘラクレスの放ったヒュドラーの毒矢に当たってしまいました。
不死であるケイロンは死ぬこともできず不死であることを神に返上して亡くなりしまいました。
自分の酒癖の悪さを悔やみ宇宙へ「射手座」として打ち上げ、ケイロンの墓を建てそうです。
その後は手こずることなく猪の生け捕りをしました。
エウリュステウス王の前に猪を持っていったら驚いて王様はツボの中に隠れちゃったらしいよ
ケンタウロスも含めて神話の生物たちは下記にまとめてあるので読んでみてください。
【試練5】アウゲイアースの家畜小屋
第5功業は「アウゲイアースの家畜小屋」です。
エウリュステウスはヘラクレスに嫌がらせの意味も込めてエーリス王アウゲイアースの家畜小屋の掃除を命じました。
アウゲイアースの家畜小屋には牛3000頭おり、30年間掃除していなく小屋には糞がこびりついてカチカチになっていました。
アウゲイアースも「1日で掃除をしてくれ」と頼まれたヘラクレスは「1日で掃除が終わったら十分の一の牛をくれ」と交渉しました。
無理だと思ったアウゲイアースは了承してしまいました。
ヘラクレスは家畜小屋を掃除するために小屋に穴をあけて、川と繋げて小屋の糞を一気に洗い流してしまいました。
ヘラクレスは家畜小屋を掃除するために小屋に穴をあけて、川と繋げて小屋の糞を一気に洗い流してしまいました。
川を繋げたことにより川の流れが変わってしまい大洪水になりました。しかし無事掃除は完了しました。
アウゲイアースは川の力を頼ったから約束は無効だと主張して、エウリュステウスは罪滅ぼしの試練なのに報酬を要求したと言ってこの試練は無効にされてしまいました。
ヘラクレスはエーリス王の約束を破ったことを根に持っていて後にエーリス王を滅ぼしてしまいました。
【試練6】ステュムパーリデスの鳥
第6功業は「ステュムパーリデスの鳥」の討伐です。
ステュムパーリデスの鳥はペロポネーソス半島のステュムパーロス湖畔に生息していました。この怪鳥たちは軍神アレスのペットでした。
凶暴で集団で生息していて、時には人間を襲うこともあり住民は恐れていました。
追い払うためにヘパイトスとアテナの知恵を借りて、大きな音を出す装置を作って驚いて逃げたところをヒュドラーの毒矢でとどめを刺していくことにしました。
ほとんどのステュムパーリデスの鳥たちを討ちましたが、何匹か逃げ出してしまったと言われています。怪鳥らは二度と戻ってきませんでした。
この逃げた怪鳥がどこに行ったかは書かれてないんだよね!
【試練7】クレータの牡牛
第7功業は、「クレータの牡牛」の生け捕りです。
元々クレータの牡牛は、海神ポセイドンがクレータ島の王ミノースに王位を保証してあげるために送った牡牛です。王位継承の時にポセイドンへ牡牛を返却して、民衆に王位を認めさせる予定でした。
しかし、ミノース王はクレータの牡牛があまりに美しい牛であったためポセイドンに返却を渋り、別の牡牛を返却してしまいました。
ポセイドンはこのことに気付き怒り、クレータの牡牛を凶暴にして、ミノース王の妻パーシパエーが牡牛を強烈に好きになる呪いをかけました。
ミノタウロスはこの間に産まれたとされています。
エウリュステウスに命じられて暴れる牡牛を捕えにきたヘラクレスですが、ミノース王に一人でやれと言われあっさり確保してエウリュステウスに元へ持っていきました。
その後クレータの牡牛は放逐されて最終的に英雄テセウスに討たれちゃうんだよね!
ミノタウロスについては下記にまとめてあるので読んでみてください。
【試練8】ディオメーデースの人喰い馬
第8功業は「ディオメーデースの人喰い馬」を奪って連れ帰ることです。
軍神アレスがトラキア王のディオメーデースへ送ったとされている4頭の凶暴な馬です
特に人肉を好みディオメーデースは人食い馬のため人間を攫ったりしていました。
ディオメーデースはヘラクレスたちが奪いに来ることに気付いたため、自分の軍勢をヘラクレスたちに向けました。
しかしあっさりヘラクレスに撃退されてディオメーデースはヘラクレスに討たれてしまいました。
人食い馬を捕らえようとした所、ヘラクレスの従者が食べられていて怒ったヘラクレスはディオメーデースの死体を馬に与えました。静かで従順になったそうです。
無事エウリュステウスの元へ届けることができました。
なぜかこのあとヘラの神馬になったんだよね!
【試練9】アマゾーンの女王の腰帯
第9功業は「アマゾーンの女王の腰帯」を持ってくることです。
エウリュステウスの娘アドメーテーがアマゾーンの女王の腰帯をほしいと言い出したため、ヘラクレスへ命じられました。
ヘラクレスがアマゾーン王国へ向かい、港で交渉したところアマゾン女王のヒッポリュテーがヘラクレスの強い体に惹かれて、「私と子供を作ってくれるなら帯を渡す」と約束しました。
しかしヘラクレスに子供ができることを嫌った女神ヘラは、アマゾンの兵士に化けてヘラクレスが女王に害をなそうとしているといって周りました。
その結果港にアマゾンの兵士がヘラクレスを討とうとして、騙されたと感じたヘラクレスは全て返り討ちにして女王ヒッポリュテーから腰帯を取りました。
アマゾーンの女王の腰帯の効果は不明です。綺麗なだけだったのかも!
【試練10】ゲーリュオーンの牛
第10功業は「ゲーリュオーンの牛」を捕らえることです。
ゲーリュオーンは上半身から3人の男の体を持っていて足が6本ある怪物であり、エキドナの兄弟でもあります。ヘラクレスはこの怪物の飼っている牛を奪ってこいと命じられました。
ゲーリュオーンの牛はオーケアノスの果てにあるエリュテイア島で飼われていました。
あまりに遠い地だったのでヘラクレスは近道をしようと思い山脈を割りました。
この割ってできた2つの山をまとめてヘラクレスの柱と呼ばれています。
この牛を見張っているのは双頭を持つ怪物オルトロスですが、ヒュドラーの毒矢で討たれヘラクレスのこん棒で叩きつけられあっさり負けてしまいました。
無事ゲーリュオーンの牛を捕獲できましたが、帰りにゲーリュオーンが追ってきて争いになりました。
ヒュドラーの毒矢を放ってあっさり撃退して持ち帰ることができました。
ヘラクレス強すぎるよね!
【試練11】ヘスペリデスの黄金の林檎
第11功業は「ヘスペリデスの黄金の林檎」を取ってくることです。
この黄金の林檎のなる木は、主神ゼウスとヘラが結婚する時に大地神ガイアがプレゼントした物になります。そしてヘラの果樹園にある物です。
ヘスペリデスはヘラから果樹園の管理を任されていました。
そこでヘラクレスは、ヘスペリデスの父親アトラスに「娘に頼み込んで黄金の林檎を持ってきてくれないか?」と頼みました。
アトラスはその時罰で背負っていた天空を一時的にヘラクレスに変わってもらうことで了承しました。
アトラスは黄金の林檎を手に入れて、ヘラクレスに渡そうとしますが天空を支えるのはもう嫌だと考え、ヘラクレスを騙そうとしますが失敗してしまいます。
その時の様子は下記からどうぞ。とっても面白いやり取りをしてます!笑
>>【ギリシャ神話アトラスの人生】なぜ地球を背負っているのか
そしてヘラクレスは黄金の林檎を届けることが出来ました。しかし、黄金の林檎はヘラの物なので後に返却されたそうです。
結局返却するなら取ってこいって命令出さなければいいのにね!
【試練12】地獄の番犬ケルベロス
最後の第12功業は「地獄の番犬ケルベロス」を地上に持ってくることです。
ケルベロスは冥府の番犬で冥界から出ようとする魂を駆り立てます。犬の3つの頭に竜やヘビや獅子などをミックスさせたような見た目をしています。
ヘラクレスは冥界の王ハデスに、番犬ケルベロスを貸してくれと頼み条件付きで許可されました。その条件は武器を使わず素手でケルベロスを屈服させられたら連れて行って良いとのことでした。
そしてヘラクレスは強靭な体で抑え込み、腕で締め落とすことができ地上へ連れていくことができました。
これで最後の試験も突破だね!
ヘラクレスの12の功業のまとめ
- ヘラの嫉妬により12の試練が始まった
- 失敗したのもあったが全てクリアする
- ヘラクレスが強すぎる
ヘラクレスの12の試練を読んでいても、戦いで苦戦しているシーンはあまりありませんでした。
そしてこの試練を仕組んだヘラですが、ヘラクレスに嫌がらせをしていたことがゼウスにバレてしまい嫌がらせを辞めたと言われています。
この英雄ヘラクレスの12の試練を元に「ヘラクレスの大冒険」として本や映画になっています。